ねえママ、あなたの言うとおり
人生とは辛いものだ
楽しい事なんかほとんどありゃしないのだと
そう言い聞かされて育ってきた。
かつて僕にそう教えた母親は
数年前に精神病を併発し、身体を壊し、日々を死んだように生きている。
少なくとも僕の目にはそのように映るのだ。
皮肉だが母親がこうだとどうしてもその家の空気は澱む。暗い。とにかく暗いのだ。
その家に笑い声など無く、家族の団欒などとうに無く、社会不適合者の子を二つも抱え込んでしまった父親はもはや子に関心はなく。
そんな問題の様々を母親は全て一人で抱えざるを得なかったのだ。
僕はそんな家を一日でも早く出たかった。
少しでもそんな母親の負担になりたくなかった。ただただ自立がしたかった。
後に僕は自立という言葉、行為をいかに舐め腐っていたかという事を思い知らされるのだが。
どうやったらこんな世界で正気を保ってられんだよ
早く誰か教えてくれよ